
[5 Hongo - 02]
本郷その2。
そもそも絵の具にコンプレックスのある自分が約8年ぶりに筆を握ろうとなったのは、
Austin Leeの展示で
アマチュアイズムの新しい可能性と呼べる表現を目の当たりにして、「これならできるかも」と自信をつけたからであった。
で実際筆を執って、初期の
この辺りはそれはもう狂おしいほどのアマチュアぶりを絵に宿すことができた。
そしてそんなアマチュアイズムをそれなりに鍛え抜いた感性で今日的な美に利導できたように思っていた。
がしかし、3枚も描くと人は上手くなるのだ。拙さを演出しだすようになると、勿論画面にあざとさが生じる。
この辺りで表現が一旦行き詰まりに至った。
ついに10号の作品に1ヶ月かけて仕上がらないという状況になり、悩んだ末至ったのが「描画のハードルを上げる」というソリューションであった。
自分が描いたことのない、描けないと敬遠してきたような真摯な写実に挑むことで、絵に再び誠実さを取り戻そうとしたのである。
描き上がった絵を見て色々な思いはあるけど、高校時代から逃げてきた自分なりの写実に、ひとつ近づけたように思う。
思えばこのサイズ感で初めてちゃんと完成させることのできたタブローな気がする。
しかし画面全体を「誠意」で満たすつらさよ。どれだけ消耗したか。世間の画家、みんなこうなんだろうか。
1167x910mm